野球はオーバースローやサイドスロー、アンダースローなどリリースする時の腕の高さは様々ですが、全然違うように見えて実はどの投げ方も肩に負担をかけない肘の高さ(腕の角度)は保っています。
(サイドスローやアンダースローは腕が下がると同時に体も傾いて腕の角度を保ちます)
その肘の高さとは"肩のラインよりやや上"です。
整形外科用語で『ゼロポジション』と言われています。
『ゼロポジション』を少し詳しく説明すると、上腕骨の軸と肩甲骨の軸が一致して1本のラインになるところです。
腕を上げた時、複数ある肩の筋肉がバランス良く使用される、肩が最も安定する位置です。
この『ゼロポジション』より腕が上がり過ぎると、腕の振りが完全に腰の回転とずれてしまうので腕の振りだけで投げるようになってしまいます。
逆に腕が下がり過ぎると、肩の一部の筋肉を使うことが出来ず、使用する残りの筋肉に多大な負荷がかかります。
特に注意しなければならないのは腕の下がり過ぎで、肘が肩のラインより下がってしまっている場合には大きな怪我をする前にすぐに修正しましょう。

『ゼロポジション』はあくまで骨の角度で決まるので、筋肉等に覆われてしまっている関係もあり外見ではなかなか具体的な場所が分かりづらいです。
しかし、見た目では探し辛い『ゼロポジション』を簡単に見つける方法があります。
力を抜いて両手を頭の後ろに置いてみて下さい。(図1)
その時の腕の角度が『ゼロポジション』です。
これは『ハンモックポジション』(寝転がった時に頭の後ろに両手を置くことから)として知られていて、肩が最も疲れない姿勢とされています。
腕の高さは自分では分かり難く、自分の投球動作を録画するか、時々誰かに確認してもらうと良いでしょう。
また、疲労が溜まると肘が下がってくることがあるので、疲れを感じたら無理をせずに投球を控えるようにしましょう。